足関節捻挫 ~ねんざは癖になる??~
スポーツで起こるケガの中でも足関節捻挫は最もポピュラーな外傷となります。また、スポーツに限らず、日常生活でも段差などで足を踏み外し受傷します。
足関節捻挫は、足首を捻じることで関節を支持している靭帯や関節包を傷めることを表します。
捻挫の重症度は3段階に分類されます
程度 | スポーツ復帰までの目安 | |
---|---|---|
Ⅰ度 | 靭帯が炎症、伸びた程度 | 0~14日 |
Ⅱ度 | 靭帯の部分断裂 | 3~4週間 |
Ⅲ度 | 靭帯の完全断裂 | 2~3ヶ月前後 |
捻挫の程度と症状
痛み | 腫れ | 内出血 | 関節の緩み | 荷重制限 | 機能低下(※) | |
---|---|---|---|---|---|---|
Ⅰ度 | ○ | △ | × | × | ×~△ | ×~△ |
Ⅱ度 | ◎ | ○ | △~○ | ○ | △~○ | ○ |
Ⅲ度 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
その捻挫はどの程度ですか??
その捻挫に見合った治療はできましたか??
なぜ足首の捻挫は繰り返されるのか?
それには理由があります!!
◎ 靭帯の役目を回復させていない:
Ⅱ度以上損傷した靭帯が関節を再度安定させることができるようになるには修復の時間が必要です。
損傷した後にすぐ無理をして動いたりしてしまった靭帯は修復が進まず、関節を安定させ支えることができなくなってしまいます。まずは靭帯の修復を最優先させます。
◎ 可動域を回復させていない:
痛みやかばい動作、固定によって関節可動域が制限されたままになっていることはもちろん再発の最大のリスクになります。
ただ、それだけではなく、固定肢位が悪く、骨・関節がずれた状態で修復してしまったり、靭帯を痛めたことによって、関節の歯車の微調整ができなくなる事によって、関節のはまりが悪いままでは体はスムーズに動かすことが出来ません。
しゃがんだ時に足首の前が“つまる”や、つま先立ちした時にアキレス腱のところが“つまる”とかはありませんか?
つまりを感じている人は、正常な関節運動を取り戻すリハビリをする必要があります!
◎筋機能・筋力を回復させていない:
強い衝撃や大きな痛みを感じれば、その周囲の筋肉はショック状態となります。これに固定や荷重制限を行うことで筋力低下は一層進みます。
大きな筋肉(アウターマッスル)は生活の中でもそれなりに使っていけば筋力は戻ってきます。ここで重要なのは関節を安定させるためのインナーマッスルです。インナーマッスルはそれに特化したトレーニングをしなくてはいけません!
足関節捻挫後で言えば、内くるぶし、外くるぶしの後ろを通る筋肉、母趾を曲げる筋肉の筋機能、筋力を戻さなくてはいけません。
筋力が弱いままでは体重を支えきることができず、再び捻挫してしまいます。
筋機能、筋力戻っていますか?けんけんして左右差ありませんか?
◎バランス能力を回復させていない:
靭帯には、関節がどう動いているかを脳に知らせ、関節を微調整する役目もあります。
捻挫によってこの機能も損なわれる事によって、関節の微調整をすることができず、バランス能力も低下します。
そのため、足をつく角度が怪我する前よりも足関節が傾いたまま着地していたり、ちょっとした段差などにもすぐに反応できなくなるために、また足首を捻りってしまいます。
バランスをとり続けられる能力、崩れたバランスをすぐに修正できる能力をもう一度獲得しないと再受傷する機会が多くなってしまいます。
◎姿勢やフォームが悪いまま:
O脚や猫背の人は自然と足の外側に体重が乗りやすくなります。
また、片足立ちになった時に身体が傾いたり、お尻(股関節)で動けなかったりする人も足の外側に体重がのりやすくなってしまいます。
そして、動作中、プレー中に身体がブレるような人はさらに足の外側に体重が乗りやすくなるので、足首は内側へ捻じりやすくなってしまいます。
接触等もなく、自分で捻挫してしまった人は、この理由が大きいと思います。
さらにびっこ引く期間が長かった人や怪我したままかばいながらプレーしている人はこのような使い方が自然となってしまっており、自分でも気づいていない人が多々います。
姿勢や体の使い方を直し、母趾球にしっかりと荷重できていないと再発のリスクとなります。
‟靭帯の未修復”と‟リハビリの不足”で再発を繰り返しているのに、根本的な原因がわかっておらず、そのまま継続して日常生活、スポーツ活動を行い何度も捻挫をしてきた人が、「捻挫は癖になる」との言葉を作ってしまったのです。
「日にちが経過したら痛みが取れた。」 「電気や鍼治療したら痛みが軽くなった。」だけでは不十分なことがあります。
癖にさせないように、根本から治してください!